塾講師、数学マンは踊る

数学塾講師バイトによる数学の教え方。高校受験のための中学数学が専門。

2014年度第5回(10/5)北辰

自分は埼玉の塾でバイトをしています。

埼玉県には北辰テスト(以下北辰)という模試があり、ほとんどの中学生が受けます。というのは、埼玉県の私立入試では「個別相談会」というものがあるのです。そこで通知表や北辰の結果を持参し、高校側に評価してもらうのですが、中には北辰の結果で合否がほぼ決まるところがあります。「北辰で偏差値55とれたんだ、じゃあ君を入れましょう」ということをする特殊な私立高校が多いのです(一般入試を実施するところや、その個別相談会で通知表を重視する学校も多いです)。

 

ともかく、埼玉県では北辰は重要であり、ただの模試ではありません。入試そのものと言っていいかもしれません。多くの塾で、北辰でいかに点数を上げられるかを研究しています。

このブログでも北辰の研究を記事として載せていきたいと思ってます。

 

 

問題ごとの難易度の評価として、目安としては以下の感じで。

易…落としてはならない易しい問題 対象としては全員

標…標準的な問題 偏差値45~55

難…難しいが十分得点できる問題 偏差値55~68

捨…捨てていい問題、基本的に解説しなくていいです 偏差値68~

 

問題と合わせ御覧ください。

 

大問1

1~7 易

1~6は計算なので絶対落とさせてはいけません。落としてたら宿題で計算練習の宿題をどっさり出す必要があります。

7はグラフを書けてる子ならわかるはず。ただ、a<0がどういう意味かわかってない子は意外と多いので注意が必要です。一度板書として

a>0 → aは正の数

a<0 → aは負の数

みたいに書かせると良いかもしれません。

 

8 標

樹形図で重要なのは実は「順番」で、最初にA,B,Cを上に並べて書くことができてるかどうか。これみたいに、少し捻った樹形図は、北辰・県立入試共に大好きな問題なので得点できるように教えていきたいところ。

 

9,10 易

求角、求積問題でもかなり簡単なものなので、得点できてほしい。

 

11①② 難

実は過去問でかなり似た問題が出てました。

①は普段から3の倍数の判別方法、9の倍数の判別方法を教えていたかどうかで差が付きます。解説するときは式でどうこうするより、この判別方法を先に教えてあげてください。「元の整数が9の倍数になるにはこんな判別方法がある、じゃあ千の位が4、十の位が6のときには、b,dってどんな数ならいいと思う?」という発問をする流れです。

②難しそうに見えますが、やっていることは倍数の証明の典型問題といっていいです。というか、前に載せた中2「文字式による説明」の教え方のやり方で通用します。捨て問ではないので解説してあげてください。

 

 

大問2

1,2 標

1は図形が想像できるかどうか。これができない子からできる子にするには切断の問題をたくさん解かせ、想像力を養わせるしかないです。が、時間対効果は微妙なので、できてなければ解説は簡単に済ませていいと思います。

2は作図の基本問題。「折り返しの図形は合同」という知識は埼玉県県立入試の問題が大好きで、ここ6年くらい?はずっと出続けています。

まあここでは「作図で折り返しは垂直二等分線」という知識を教えたほうがスッキリするとは思います。

 

3 易

4 標

yをxを用いた式で表す、に対しての解答の仕方を教えてなければできないと思います。ついでに、bについて解け、に対しての解答の仕方も教えましょう。

ただ自分の生徒の中には、これを重視して教えすぎて「y=20x」や「y=60x」と答えてしまっていた子もいたので、考えものかもしれません。先に問題文の速さというキーワードに注目させ、みはじの図から距離を考えさせることを優先させるべきですね。

 

5①② 標

①は周の長さから一辺を出すにはどうするかを分かってなければできません。が、それさえできればあとは計算だけなので、②までスムーズに進むはず。

ただ答えにx,yの値のどちらかを書き込んだ生徒は要注意。「方程式の文章題でx,yを求めたらそれが何者だったか確認する」というのはしっかり教えましょう。板書させていいと思います。

 

大問3

1 易

2 難

これを捨て問として扱うかは迷いました。実際、これを解ける生徒は少数だと思います。ですが、発想のレベル・扱う1次関数の知識はいずれも標準的であり、良問だと思います。「解けなくていいんだけど、いい勉強になるから解説するね」という感じで。

・等積変形の有名形→平行な線を引く

・平行→傾きaが同じ

あたりの知識が発想では重要でしょうか。

 

大問4

1 難

やる証明自体は標準的。∠PCB=∠QCDの証明はよく出るのでオサエさせたいところです。ただ、そもそもDQがADの延長線かどうかは判別できない、ということがわからない子が多かったです。中学生レベルではこれが延長線じゃないことが分からないと思うので、レベルは難にしました。

教えるときには「さすがにDQが延長線だと簡単すぎるから、もしかしたら延長線じゃないかも、と疑ってほしい」という感じでしょうか。

 

2 捨

勘で答えが45度というアタリを付けられ、そのゴールから理由探しをできる、というとても頭の良い子でないとできません。加えて説明問題なので、捨てていいです。

 

3 捨

PBC,△PSD,△SCQの面積が同じだというアタリを付け、その理由探しができる子でないとできません。捨て問。

 

 

全体としては簡単な問題も難しい問題も半々くらい出ていて、良問が多かったと思います。ただ、標準的な問題が少なく、中間層があまりいないかもしれません。