中3「乗法公式の逆の因数分解」の教え方
因数分解は大きく分けて二パターンあります。
1.分配法則の逆(共通因数を括る)
2.乗法公式の逆
前者は簡潔な解説だけでも理解できる生徒が多い一方、後者の方は初学者には難しい面があります。本記事では後者の教え方を扱います。
この単元で大事なのは、乗法公式の逆の因数分解をするときの思考回路を形成させてあげることです。例えば教師がx^2-5x-6を因数分解するときには「掛けて-6になる組み合わせか、-2と3だったら足しても1で駄目だ、-1と6だったら足して5だから惜しいな、じゃあ-6と1にして足して-5になった、これで大丈夫だから答えは(x-6)(x+1)だ」というような思考回路により解いているはずです。この思考回路なしに大量の演習量をこなさせたとしても変な勘が身につくだけになってしまいます。
よって以下の様な板書をとらせます。
因数分解→掛けて数字部分、足してxの係数になる組み合わせを考える
point 掛けて数字部分になる組み合わせを先に考える
例1. x^2+10x+16
4×4 → 足しても8になる
16×1 → 足しても17になる
2×8 → 足して10になるのでOK
= (x+2)(x+8)
例2. x^2-6x+8
1×8 → 足しても9になる
2×4 → 足して6になり惜しい
-2×(-4) → 足して-6になるのでOK
= (x-2)(x-4)
例3. x^2-5x-6
-2×3 → 足しても1になる
-1と6 → 足して5になり惜しい
-6と1 → 足して-5になるのでOK
= (x-6)(x+1)
例1で掛け算の組み合わせを色々考えることを理解させ、例2で負の数も考えなくてはならないことを理解させ、例3で惜しい時には正負を逆にすれば良いという戦略を理解させる、というように段階的に理解させることを意識しました。例3のような例はもう一つ追加するとより分かりやすくなるかもしれません。
板書を取らせたらいくつか演習問題を解かせて、正しく思考回路が形成されているかをチェックします。チェックし終えたらあとは宿題で大量の問題を解かせれば、この単元の基本的な考えは定着すると思います。